会社名

株式会社クラタ

所在地

神奈川県横浜市保⼟ヶ⾕区

設立

1999年(平成11年)7月

事業内容

1.⾃動⾞⾞体製作
2.⾃動⾞の塗装、艤装
3.⾃動⾞部品製作及び販売

従業員

36人

30年以上特装⾞の改造事業に特化、自動車改造のプロフェッショナル

株式会社クラタ(以下クラタ)の前身は、戦後間もない昭和21年に、国産小型自動車車体製作を専業とする自動車ボデー製作会社として、加瀬忠次氏が「倉田自動車工業株式会社」を設立したことから始まります。日産自動車のトラックライン工場として発展しますが、昭和40年に多角経営へ挑戦。多種多様な特装車を手がけるようになりました。

その後、特装車製造専門へ事業を転換し、平成11年には現在の社名に変更。

30年以上にわたって、特装⾞の改造事業に特化。世の中の変化・顧客のニーズに対応できる特装会社として、「品質の良い特装車作り」を企業目標に技術・技能に磨きをかけてきました。平成29年より3代目社長に就任された加瀬隆宏社長は、これまでの技術を伝承しつつ、自らが掲げたビジョンの達成に向けて、社員一丸となって日々の挑戦を惜しみません。こうした行動の背景には、フォーバルの存在が非常に大きかったと加瀬社長は振り返ります。それは一体何だったのでしょうか?フォーバルとの歩みを含めて直接お伺いいたしました。

次世代経営塾の入塾が新生クラタのスタートライン

フォーバル コンサルタント 山本 裕介(以下山本):クラタとフォーバルの歴史は長いと以前伺ったことがあります。出会ってから現在にいたるまで、印象に残っていることをお話しいただけますか?

クラタ 加瀬 隆宏社長(以下加瀬社長):私が入社した15年前よりも、クラタとフォーバルは長いお付き合いです。特に印象に残っているのは、担当営業から大久保塾長の講演会にお誘いいただいてからの数年になりますね。

当時は、先代から後継者としての業務の引継ぎが行われており、私自身クラタをどのような会社にしていくべきかを悩んでいたため、1度成功された経営者の話を聞いてみようと思いました。

山本:なるほど、講演会で得られたことはございましたか? 

加瀬社長:講演会の話を通じて、私の悩みが解消されると感じましたね。そこで、次世代経営塾のご案内をいただきましたが、より詳しく学ぶために入塾へも迷いはなく、その場で申し込みました。

株式会社クラタ 代表取締役社長
加瀬 隆宏 様

山本:ありがとうございます。まさに即決だったのですね。ちなみに加瀬社長が抱えられていた「悩み」、こちらについてもう少し詳しく教えていただけますか?

加瀬社長:私がクラタに入社する前は、約10年間サラリーマンとして働いていました。もちろん私を形成する土台にはなっておりますが、一方でそれはサラリーマンとしての土台でしかなく、経営者としては難しいものでした。このギャップが悩みに繋がっていたと思います。 

山本:確かに、サラリーマンと経営者では求められるものが違いますね。

加瀬社長:はい。クラタの経営者になってからは、サラリーマン時代の経験を通じて改革を進め、結果、会社の利益は上がりましたが、そこで満足し、固まっていた自分がいました

今振り返ると、経営者として必要な思考・条件を十分に持っていなかったなかで、利他の心、100年後の姿など勉強して考える機会をいただけたことが、私には大切なことだったと思っています。

100年ビジョンが見る世界を大きく変え、クラタにも必要だと感じた

山本:次世代経営塾を学ぶ前、学んだ後で加瀬社長が感じられている変化は何でしょうか?

加瀬社長:一言で言うと、見る世界が変わりましたね。

これまで、100年ビジョンを持った会社がこれだけ世の中にたくさんあり、その人たちが何を想い行動しているかを考えたことがなかったのです。

さまざまな媒体の広告を見ていても、100年先を見ている会社はたくさんあります。そこだけでも、見る世界が私にとっては違ってくるわけです。見るもの見るものが、そういう考え方で世の中は成り立っているのかと気付くことができました。

山本:見る世界=加瀬社長の視野がこれまで以上に広がったということですね。

株式会社フォーバル コンサルタント
山本 裕介

 

加瀬社長:はい、クラタの100年後を考えるなんてことは今までなかったですから。次世代経営塾が新生クラタのスタートラインだったと思います。

山本:加瀬社長から「100年」という言葉が多く出てきましたが、100年ビジョンが大きな学びだったということでしょうか?

加瀬社長:ええ。皆が同じ方向に向いてもらうため、経営理念から100年後のビジョンをゴールに置くことは非常に重要でした。

これがなければ、毎年がなんとなく終わっていってしまうからです。今までのクラタはそうでした。私たちの業界は、閑散期と繫忙期が非常にはっきりしております。

繫忙期が終わった後は、皆が疲れ切り、少し休んでいるうちに段々忙しくなって…の繰り返し。クラタはどこに向かっていくのか?そのために改善することは何か?100年後から立ち返ることが必要でした。当時も何かしら変えていくことはできたと思いますが、大きな目標がなければ、何のために変えるのかが明確になりません。

次世代経営塾を卒業してからは1人でビジョンを考えていたのですが、なかなか結論が出ず時間だけが過ぎていき、このままではダメだと思い、コンサルティングをしてもらおうと決めました。

短いようで長かった3か月、納得いくビジョンの確立に向けて

山本:2017年の7月、約1年前ですね。コンサルティングが始まり、10月の発表会に向けての約3か月は、理念・ビジョンの策定支援を進めていきました。当時を振り返っていかがでしたでしょうか?

加瀬社長:当時は「本当にできるのだろうか」と不安でした。実際、最初はなかなか自分のなかでしっくりこなくて苦しい時期もありましたが、そのような状況のなかでも山本さんがうまく導いてくれたと思います。

当時は隔週で来ていただき、散らばりかけた1つ1つの要素をまとめたり、絞り込んだりしてくれました。今でも忘れられないのが、9月末に「できた!」という言葉が自然に出たこと。あれは何とも言えない満足感と達成感でしたね。

山本:そのようにおっしゃっていただけると嬉しいですね。当時、複数回面談したときに必ず出てきた言葉がいくつかありました。1つ1つの意味はバラバラでも、それらをどう並べるかが重要です。そして取捨選択は意識しましたね。

加瀬社長:そうでしたね。理念と行動指針においても、一番いいバランスでまとめることができたなと実感しております。

短期間で納得解へ導いてくれた点が
ありがたかったと加瀬社長は振り返る

理念・ビジョンを全社員にどのように浸透させるか?

山本:2017年の10月に発表会が終わり、そこからの半年間は、理念・ビジョンを社員にどう浸透させるかを中心とした支援でした。繁忙期の時期もありましたが振り返ってみていかがでしょうか?

加瀬社長:そうですね。一部の社員にではありますが浸透してきているかなと。例えば理念の「全社員の幸せ」の箇所を穴埋めクイズにしても、ほぼ全員の社員が答えられます。

一方で全体を見ますと、現状ではまだまだ社員の頭のなかには入っていないなと思います。

確かに約半年の半分以上は繁忙期で、とてもそこまで考えることができなかったですし、時間も十分にとることができなかったというのもありますが。閑散期となった4月以降は、理念・ビジョンの浸透に時間が取れるようになり、もう少し変化するかなと期待しております。

山本:確かに、大変お忙しい状況のなかでの浸透に向けた協議は難しかったかもしれません。実際、打合せ中に感情的になられる社員の方も多くいらっしゃいました。

加瀬社長:クラタの社員の多くは「職人」。ですから、感情的な態度が出るのは仕方がないです。

それ以上に、私は喧嘩するほど自分の意見をしっかり持って発信してくれているのだと前向きにとらえてますし、1つの個性だと考えています。ただ、今後もクラタが行う仕事には、今の理念・ビジョンと行動指針に沿っていなければならないということを、伝えていかなくてはならないと思っています。

山本:そうですね。絶対にブレることがないよう社員の皆様に浸透するまで、加瀬社長と共に教えていければと考えております。

職人集団を率いるクラタ
現場を知ることが基本であり大切なこと

とことん寄り添っていきたい、フォーバルと共に

山本:最後にフォーバルへ、もっとこういうことをしてほしいなど、加瀬社長のなかで期待されていることはございますか?

加瀬社長:クラタの営業会議、工程会議、現場などをこれまで以上に見ていただいたうえで、「もっとこうしていけば」というアドバイスが欲しいですね。これらが、クラタの現状のほぼ全てになると思っていますし、改善していくことで大きな変化に繋がると思います。

理念・ビジョンの浸透はもちろんのこと、それに基づいた行動は何か?そしてしっかりできているのか?これまで以上に見ていただきたいですね。

山本:承知しました。会議体含めてさらに現場と寄り添い、巻き込みながらゴールに向けたお手伝いができればと思います。引き続き宜しくお願いいたします。

加瀬社長:こちらこそ宜しくお願いいたします。

茅ヶ崎工場にて

理念策定、浸透、そして人財採用を成功させた
株式会社クラタ様(人財採用編)を読む

編集後記

取材をさせていただいた茅ヶ崎工場には、車を運転しているときやテレビでよく見る特殊車両がたくさんありました。「くらしを支えるクラタのくるま」、ここには書くことができませんが、非常に有名なところの特殊車両も多数手掛けられており、今後街中で見かけるたびに「クラタで作られた車かな?」と思うことは間違いありませんし、自分の子供達にもいろいろ話してしまいそうです。

現在は落ち着いている時期とは言いますが、それでも職人の方々がさまざまな車を改造しており、真剣に向き合っている姿と見事に整理整頓されていた作業場が印象的でしたね。

既に素晴らしい技術力を有しているなかで、これまで以上に社員全員が同じ方向を向き、理念・ビジョンに沿った行動をし続けることができたらこれほど強いことがありません。クラタの未来に向かって、共にくのう(苦悩)し、そしてクリア(解決)になれるご支援をこれからも続けていければと思います。

(2018年5月取材時)