法の認知度

これまで働き方改革に関連した中小企業の実態について述べてきたが、ここでは働き方改革関連法について、まずは認知度について聞いた結果から示すことにする。

調査を行ったのは、法律が成立して3か月ほど経った頃である。法律の内容についての認知を問う質問に対し、「よく知っている」「ある程度知っている」の合計は511 社(1034 社中・49.4%)であった。

「あまり知らない」「知らない」の合計とほぼ同じ結果であり、多くの企業にとって身近なテーマであるものの、あまり知られていない現状が浮き彫りになった。働き方改革が進められることについては知っていても、その関連法が具体的にどのような内容なのかについては、浸透が進んでいないということだと考えられる。

上記のフォーバル調査と同時期に行われた、日本商工会議所と東京商工会議所が行った調査(※23)によると、同法の中でも「時間外労働の上限規制」について「名称は知っているが内容は知らない」と、「名称も内容も知らない」と回答した企業の合計が39.3%、「年次有給休暇の取得義務」については24.3%、「同一労働同一賃金」に至っては47.8%の企業が知らないと回答している。

両会議所の分析では、「従業員規模が小さくなるにつれて低下することから、中小企業における認知度に課題がある」とされている。

例えば、上記の3項目が施行されるのは、中小企業の場合は「時間外労働の上限規制」が2020年4月、「同一労働同一賃金」が2021年4月であるのに対し、「年次有給休暇の取得義務」については2019年4月となっている。取組みにより施行時期が異なることも法律の実施時期を理解しにくいものにしている可能性がある。

また各取組みの内容についても、新しい取組みについては相対的に認知が進んでいないことから、理解活動をさらに積極化させる必要があるだろう。

※23:「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」(日本・東京商工会議所)
https://www.jcci.or.jp/20190109%20for%20press.pdf

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。