働き方改革の認知度

働く人の立場に立った環境整備に向けた動きに対し、実際に労働者を雇用する立場である中小企業にとっては、その内容を実行するにあたり負担が大きくなる可能性がある。しかしそれでも取り組まざるを得ない実情もある。それはこの4月からの法改正に伴い、新たに罰則規定を伴う取り組みも実施されることになるためである。

こうした状況を受けて、フォーバルでは中小企業の経営者が働き方改革に対してどのような意識を持っているのか、実態調査を行った。

まず中小企業にとっての働き方改革とは何か、その内容についての認知度を問う調査を2018年2月に行った。

これを見ると、「ある程度知っている」が554 社(1464社中・37.8%)で最多となったが、ほぼ同数で「あまり知らない」の543社(同・37.1%)が続いた。さらに「知らない」の246社(同・16.8%)が続き、「よく知っている」は最下位で121社(同・8.3%)という結果であった。

2018年2月といえば、働き方改革関連法案が国会に提出された直後である。安倍首相の施政方針演説でも重要法案だと位置づけられていたことから、中小企業にとってこの改革がどの程度認知されているのかを測るための質問であったが、「あまり知らない」と「知らない」を足した結果が53.9%になるなど、認知が進んでいない状況が浮き彫りになった。

その後、働き方改革関連法が可決成立し、2019年4月から順次施行されることになったが、それを前に改めて中小企業の働き方改革に対する認知度をみるため、同じ質問を実施した。

結果は1年前と同じく、「ある程度知っている」が最多となったが、その数は663社(1188社中・55.8%)となり、割合費で18.0ポイントの増加となった。また、変化が見られた選択肢は「知らない」で、11.7ポイントの減少となった。1年間で認知が進んだ状況が伺える。

ただし、「よく知っている」の割合は8.3%から9.9%に増えただけで、1.6%の増加にとどまった。

両調査結果の比較結果が以下の表である。

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。