中小企業支援制度の利用率

続けて、ここでは各種ある中小企業支援制度についての認知や活用状況についての結果を整理してみたい。

フォーバル調査の第1回アンケートで、助成金などの中小企業支援制度について知っているかどうかを聞いた。

最も多かったのは「制度があるということは知っている」が最も多く784社(1452社中・54.0%)、また「自社に関わる制度の内容を知っている」が410社と続いた。こうした支援制度があることは、多くの経営者が認知している状況が伺える。この2つの選択肢で8割を超えている。

上記の設問において「知っている」と回答した経営者(「自社に関わる制度の内容を知っている」の387社、「制度があるということは知っている」の784社、その合計の1171社)に対し、では実際に制度を活用したことがあるのかを聞くと、現在「活用している」と回答した企業が221 社、「過去に活用したことがある」の214 社を足しても、1 / 3 の企業だけであり、「活用したことがない」の720社が最多という結果となった。

前問と比較すると、制度があることは知っていても、実際に活用したことがある企業は少ないことがわかる。

この中小企業支援制度の活用について、同様の調査を行っていた大阪商工会議所の結果をみてみる(※10)。

「中堅・中小企業の経営課題に関するアンケート調査」(大阪商工会議所、2018年(平成30年)5月9日)
http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/300509ank.pdf

ここでも「活用したことがない」が最多で53.7%であった。フォーバル調査と比べると約8.6ポイント少ない結果であった。(現在)「活用している」は近い割合であったが、違うのは「過去に活用したことがある」で、フォーバル調査では18.5%であったものが、大阪商工会議所調査では30%を超えていた。

過去に活用していたかどうかで結果に差異があるものの、両調査に共通しているのは、活用したことがない企業が最多でいずれも過半数を超えていること、現在活用している企業も10%台後半で少ないということである。

以下は参考だが、大阪商工会議所による同じ調査では、同じ回答者に対し、「補助金・助成金を活用する上での障害について」を聞いている(2項目以内、複数回答)。結果は、「手続き・申請書が複雑で、自社で対応できない」が37.3%、「そもそも情報がない」が32.9%、「受給要件が厳しい」28.1%、「申請から受給まで時間がかかる」が16.0%などという結果であった。

ここまで月次決算F、第三者認証、そして助成金等の中小企業支援制度の認知や実施・活用状況等をみてきた。

これらはうまく活用すれば企業の経営の一助になるものばかりであるが、認知はしていても活用できていないという状況が浮き彫りになった。またその理由として、時間や人のリソースがないことに加え、制度自体をよく認知していないことや、どうすればよいかわからないなどの理由で取り組めていない企業があることもわかった。

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。